どこよりも詳しく説明!資格外活動許可とは?
資格外活動許可とは活動類型資格で在留している者が、自身の定められた活動以外の活動を行う場合で且つ収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(一部の臨時的な報酬は除く)を行う場合に必要になります。単純労働の活動は原則認められませんが、「留学」、「家族滞在」、「文化活動」、「一部の特定活動」の在留資格(ビザ)では単純労働が認められるケースもあります。
申請書類の提出先は法務省の外局である出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局)です。
審査期間は申請してから約2週間~2ヶ月かかります。
許可はパスポート(旅券)又は在留資格証明証に認印シールを貼付します。ただし、有効なパスポート(旅券)を所持していない場合などは許可書の交付によって行われます。在留カードを所持している場合は資格外活動を許可を受けている旨及び許可した活動の要旨が記載されます。
資格外活動許可の根拠法(入管法19条)
第十九条 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者は、次項の許可を受けて行う場合を除き、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。
一 別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 当該在留資格に応じこれらの表の下欄に掲げる活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。以下同じ。)を受ける活動
二 別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動
2 出入国在留管理庁長官は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、出入国在留管理庁長官は、当該許可に必要な条件を付することができる。
3 出入国在留管理庁長官は、前項の許可を受けている者が同項の規定に基づき付された条件に違反した場合その他その者に引き続き当該許可を与えておくことが適当でないと認める場合には、法務省令で定める手続により、当該許可を取り消すことができる。
4 第十六条から第十八条までに規定する上陸の許可を受けた外国人である乗員は、解雇により乗員でなくなつても、本邦にある間は、引き続き乗員とみなす。
第十九条 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者は、次項の許可を受けて行う場合を除き、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。
別表第一の上欄の在留資格とは
まず、「別表第一の上欄の在留資格」とは下記の通りとなります。
これに対して「別表第二の上欄の在留資格」として「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の4つの在留資格(ビザ)があります。
別表第一の在留資格を活動類型資格、別表第二の在留資格を地位等類型資格といいます。
地位等類型資格とは特定の地位に基づいて在留資格が認められているため、活動の範囲については何ら制限がなく、入管法上あらゆる活動に従事することができます。
これに対して活動類型資格には別表第一の下欄にそれぞれの「行うことができる活動」が定められています。そのため、活動類型資格で在留する者が自身の定められた活動以外の活動を行う場合で且つ収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行う場合は資格外活動許可が必要になります。
また、ここで記載してある活動は収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を規制しているので非就労活動については制限されておりません。
【別表第一の上欄の在留資格(活動類型資格)】
「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」
次項の許可を受けて行う場合とは
「次項の許可を受けて行う場合」とは下記の通りとなります。
2 出入国在留管理庁長官は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、出入国在留管理庁長官は、当該許可に必要な条件を付することができる。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)で在留する者が「技術・人文知識・国際業務」の活動以外の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行いたい場合は入管(出入国在留管理庁長官)に資格外活動許可を申請しなければなりません。
そして入管は当該活動が、技術・人文知識・国際業務の活動の遂行を阻害しない範囲内と認めるに相当の理由があるときは許可することができます。
「許可することができる」と記載してある通り、入管は理由がなければ許可しないことができます。むしろ、「別表第一の上欄の在留資格」に記載されてあるほとんどの在留資格は資格外活動許可が許可されない現状があります。その理由としては下記の【一般原則】の3を満たさないといけないからです。
資格外活動許可の一般原則
- 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと。
- 現に有する在留資格に係る活動を維持していること。
- 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は第二の表の在留資格の下欄に掲げる活動に該当すること。
- 申請に係る活動が次のいずれかの活動にも当たらないこと。
(1) 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
(2) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定されている一部の営業に従事して行う活動- 収容令書の発行を受けていないこと
1.申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと
これからやろうとする活動(資格外活動)が申請人が現に有する在留資格の活動を妨げるような活動であってはなりません。これは単に時間や報酬額の多寡によるものではなく実質的に判断されます。
2.現に有する在留資格に係る活動を維持していること。
留学生なのに学校に行っていないなど本来の活動を行っていない者は許可されません。
3.申請に係る活動が法別表第一の一の表又は第二の表の在留資格の下欄に掲げる活動に該当すること。
資格外活動許可が許可されにくい大きなポイントになります。これからやろうとする活動が法別表第一の一の表又は第二の表の在留資格の下欄に掲げる活動に該当しなければなりません。驚いた方もいるかもしれませんが、資格外活動許可の対象となる活動は「特別な技術、技能または知識を必要とする活動」を対象としています。いわゆる、コンビニでアルバイトをするような活動は原則資格外活動の対象とはなっておりません。
4.申請に係る活動が次のいずれかの活動にも当たらないこと。
法律を守る行為は当然ですが、ホステスなどの接待行為をするような店で働くことはできません。
5.収容令書の発行を受けていないこと
収容令書とは外国人の不法入国や不法残留等の違反があった場合に、入国管理局の主任審査官が発布する令状のことをいいます。資格外活動の許可を取得するためにも例外なく素行は善良でなければなりません。
以上、一般原則について説明しました。しかし、このままだと留学生がコンビニでアルバイトをするような活動ができなくなってしまいます。そこで一般原則とは別に特則を設けて各在留資格(ビザ)ごとに規定を定めております。
資格外活動許可の特則
1 「短期滞在」の在留資格をもって在留する者
短期滞在の在留資格をもって在留する者で【一般原則】の各要件に該当する者で特に許可するのが相当である場合は資格外活動許可が許可されます。「特に許可するのが相当である場合」という条件付きなので、よほどの理由がないかぎり短期滞在では許可されません。
2 「留学」の在留資格をもって在留する者
(1) 包括許可
留学の在留資格をもって在留する者で、留学中の学費や必要経費を補う目的のアルバイトで1週について28時間以内(夏休み期間中などは1日8時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動については【一般原則】の1,2,4,5の要件に該当する者であれば包括的に資格外活動許可が許可されます。「一般原則」の3が要件から抜けているので、必要経費を補う目的であることや1週について28時間以内などの要件を満たす留学生には単純労働が認められることとなります。ただし、この場合でも全ての留学生が認められるわけではなく、高等学校や中学校などで教育を受ける者については基本的には許可されにくいといえるでしょう。また、あくまで、留学中の学費や必要経費を補う目的(アルバイトの目的が主たる経費支弁手段は認められません。)のアルバイトが対象なので学校そっちのけでアルバイトに専念している場合は許可の取消し及び罰則規定があります。
「専ら」「明らかの判断」
入管法19条に違反して資格外活動を行った場合は罰則規定が適用されますが、その資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる場合には重い刑罰に加えて退去強制の対象となります。これは留学の在留資格の活動に支障を伴わない範囲(例え成績や出席率がよくても)でも専ら資格外活動をしていたと認定されれば対象になります。さらに、その者に不法就労活動をさせた者(アルバイト先)にも不法就労助長罪が成立する場合があるので注意が必要です。「包括的に」とは雇用先が変わってもその都度資格外活動許可申請をする必要がないということです。
(2) 個別許可
包括許可に掲げる範囲外の活動については個別に許可されるケースがあります。例えばインターンシップ活動や学費・その他必要経費を補うためで且つアルバイトの内容が通訳・翻訳・家庭教師など申請人の専攻科目との関連性が認められる場合などは1週28時間以上の資格外活動が認められるケースがあります。
3 「文化活動」の在留資格をもって在留する者
文化活動の在留資格(ビザ)でも留学生と同様の活動を行っている者は上記「留学」の在留資格(ビザ)をもって在留する者に係る取扱いを準用します。
4 「家族滞在」の在留資格をもって在留する者
(1) 包括許可
申請に係る活動が1週について28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動については【一般原則】の1,2,4,5の要件に該当する者であれば包括的に資格外活動許可が許可されます。ただし、扶養者の収入・報酬額を超えるような場合は扶養を受ける者とはいえないため原則許可されません。
(2) 個別許可
包括許可に掲げる範囲外の活動については個別に許可されるケースがあります。
5 「家族滞在」以外の在留資格をもって在留する外国人の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動を行う者
アマチュアスポーツ選手の家族滞在活動としての特定活動、又はその他一部の特定活動の在留資格をもって在留する者からの申請については前記4と同様に包括的又は個別的に許可されます。
その他、継続就職活動若しくは内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」の在留資格(ビザ)をもって在留する者やEPA看護師家族滞在活動として「特定活動」の在留資格(ビザ)をもって在留する者などは前記4と同様に包括的又は個別的に資格外活動が許可されます。
資格外活動が許可されない事例
一方で資格外活動許可が原則許可されないケースもあります。例えば、入院して医療を受けるために本邦に相当期間滞在する者や観光を目的とした長期滞在者又は難民認定申請中の者として「特定活動」の在留資格(ビザ)をもって在留する者などは原則許可されません。
「次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない」とは
「次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。」とは下記の通りとなります。
一 別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 当該在留資格に応じこれらの表の下欄に掲げる活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。以下同じ。)を受ける活動
二 別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動
別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 | これらの表の下欄に掲げる活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬 |
別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 | 収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動 |
まず、次の各号とは2つに分かれます。
上段が教授、技術・人文知識・国際業務、特定活動などの在留資格(ビザ)で、下段が文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在の在留資格(ビザ)を指します。上段は就労ビザなので自身の活動以外の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動をする場合は資格外活動許可が必要だと記載しております。一方、下段はそもそもが収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動ではないので、事業を運営する活動又は報酬を受ける活動そのものをする場合は資格外活動許可が必要になります。
収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動とは
「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」とは一定の目的の下での同種行為の反復継続的な活動で、収入を伴うものが対象となります。報酬とは一定の役務を提供する代わりに得られる反対給付のことをいいます。そのため下記に記載されている臨時的にもらう報酬などは「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」から除外されています。
収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動から除外されているもの
第十九条の三 法第十九条第一項第一号に規定する業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の報酬は、次の各号に定めるとおりとする。
一 業として行うものではない次に掲げる活動に対する謝金、賞金その他の報酬
イ 講演、講義、討論その他これらに類似する活動
ロ 助言、鑑定その他これらに類似する活動
ハ 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
ニ 催物への参加、映画又は放送番組への出演その他これらに類似する活動
二 親族、友人又は知人の依頼を受けてその者の日常の家事に従事すること(業として従事するものを除く。)に対する謝金その他の報酬
三 留学の在留資格をもつて在留する者で大学又は高等専門学校(第四学年、第五学年及び専攻科に限る。)において教育を受けるものが当該大学又は高等専門学校との契約に基づいて行う教育又は研究を補助する活動に対する報酬
3 出入国在留管理庁長官は、前項の許可を受けている者が同項の規定に基づき付された条件に違反した場合その他その者に引き続き当該許可を与えておくことが適当でないと認める場合には、法務省令で定める手続により、当該許可を取り消すことができる。
資格外活動許可を取り消すケース
せっかく資格外活動許可を取得しても、下記のケースに該当した場合は入管は資格外活動許可を取り消すことができます。
- 資格外活動許可をするために与えられた条件に違反したとき
- 資格外活動許可を与えることが適当でないとき
1.の例として、申請人が指定された就労先を勝手に変更した場合や決められた稼働時間を超えて稼働するケースなどが挙げられております。一方、2.の例としては、申請人が在留資格取消事由に該当した場合や犯罪を起こした場合などが挙げられます。
資格外活動許可の要点
このページでは下記を参考及び引用いたしております。
引用 出入国管理関係法令等
引用 在留資格関係公表資料
引用 入管法の実務 新日本法規 山脇康嗣
引用 入国・在留審査要領