どこよりも詳しく説明!経営・管理とは?

どこよりも詳しく説明!経営・管理とは?

このページでは「経営・管理」の在留資格(ビザ)について説明しています。

注意事項について

経営・管理とは外国人が日本で事業をするための在留資格(ビザ)になります。会社の代表者や役員だけでなく管理者(工場長や部長、支店長)なども該当します。経営・管理を取得するためには各要件をクリアすることはもちろんですが、あなたが行う事業がどれだけ安定的に継続するかも重要です。あなたが今まで経験したことをはじめ、資金の出どころ、人脈、競争優位性など、なぜあなたが行うビジネスが成功するのかという根拠を是非考えてください。

申請書類の提出先は法務省の外局である出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局)です。経営・管理の在留資格(ビザ)は審査項目も多いため審査期間は長くて6ヶ月かかる場合があります。

在留資格該当性

本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)

上陸許可基準

申請人が次のいずれにも該当していること。
一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。
二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が5百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
三 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

在留資格該当性

本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)

経営・管理の在留資格該当性は本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動になります。ただし、括弧書きで(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)と記載されているので、弁護士や公認会計士等の資格を有しなければできない事業の経営又は管理に従事する活動(法律事務所の経営等)は「法律・会計業務」の在留資格に該当します。

次に経営・管理の在留資格(ビザ)に該当する類型は下記の3つのパターンになります。

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「本邦において貿易その他の事業の経営を行い」とは、①本邦において活動の基盤となる事務所などを開設し、貿易その他の事業の経営を開始して経営を行うこと、②本邦において既に営まれている貿易その他の事業の経営に参画すること、③本邦において貿易その他の事業の経営を開始した者若しくは本邦におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わってその経営を行うことをいいいます。ちなみに「貿易その他の事業経営」の「貿易」とは例示になります。「当該事業の管理に従事する」とは、①本邦において経営を開始してその経営を行っている事業又は経営に参画している事業の管理に従事すること、②本邦において貿易その他の事業の経営を開始した者若しくは本邦におけるこれらの事業の経営を行っている者に代わって当該事業の管理に従事することをいいます。

上記のように経営・管理は自ら事業を行うことに加えてすでに事業を営んでいるものに後から加わることを妨げておりません。ただし、申請人が事業の経営又は管理に実質的に従事することが条件となっております。

例えば、事業の経営に実質的に従事しているかどうかの判断は申請人が事業の運営に関する重要事項の決定をしているか、業務の執行をしているかなどが挙げられ、事業の管理の業務に従事しているかどうかの判断は申請人が内部組織である部に相当する以上の部門を直接管理しているかどうかなどがあげられます。少なくとも取締役や部長、支店長など肩書だけで判断されるものではないのでご注意ください。

特に申請人が新たに事業を開始しようとする場合については申請時には実績がないため、申請人が単に名ばかりの経営者でないことを示すためにも、事業内容の具体性や資金の出どころ及び創業動機など事業が実質的に行われるであろう具体的根拠を示すことが必要です。

一方、すでに事業を営んでいる場合はある程度組織ができあがっているので事業内容などは説明がしやすいかとは思いますが、申請人が実質的に経営や管理に関わっている根拠(投資の割合や業務経験など)を示すことは重要になります。

共同出資及び共同管理

経営・管理には人数制限はありません。1つの会社で複数の者が経営・管理を取得することは可能です。ただし、事業の経営又は管理に主たる活動として従事できているかを事業規模などから判断しますので、必ずしも全員が経営・管理を取得できるわけではありません。具体的には複数の者が事業の経営又は管理に従事できるだけの業務量、売上、従業員数等から審査されます。

事業の適正性、安定性、継続性とは

また事業の継続性についても考慮しなければなりません。仮に在留期間の途中で事業が立ち行かなくなり、在留活動が継続できないと事前に想定されるような場合は、経営・管理の在留資格に該当する活動を行うものとは認められません。

申請者が行う事業は、適正に行われ、かつ安定性と継続性が認められなければなりません。

適正性とは許認可が必要な業種については許認可を取得していることや納税及び社会保険・労働保険の加入手続きを満たしていることなどから判断されます。安定性及び継続性に関しては客観的にみて事業の運営について大丈夫であろうという根拠が必要になります。

単純に資本金の大小のみに限らず、売上高、利益、従業員数、競争優位性等から総合的に判断されます。特に新たに事業をはじめる場合は具体的な事業計画が必要になります。これからやろうとする事業が他の事業者よりもなぜうまくいくのか、是非考えてみてください。

他社よりも有利になる商品仕入れルートや販売ルート、特殊な人脈やノウハウ、技術又は許認可などがあれば積極的にアピールするべきです。またそれらの根拠を示す資料は必ず提出するようにしましょう。

事業の継続性と決算状況について

事業を安定的に継続して続けていくためには資金繰りは必要不可欠です。ここでは経営・管理を更新する場合の決算状況の目安について記載していきたいと思います。

決算状況については単年度の決算だけを重視するのではなく総合的に判断することが必要です。つまり、今年は赤字だから更新は認めないというわけではなく、赤字の原因が客観的に納得できるものであり次年度の収益に改善の余地が認められれば更新の可能性はあるということです。

欠損金1

・直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合

基本的には直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合は事業の継続性に問題ないと判断されます。次に直近期末において欠損金がある場合は以下のようなパターンに分類できます。

欠損金2

・直近期末において債務超過となっていない場合

直近期末において欠損金はでているが債務超過まではなっていない場合は、事業が行われていることに疑義があることなどを除いて、原則的に事業の継続性があると判断されます。ただし、次年度に収益が改善されるであろう根拠を示した資料の提出が必要になり、場合によっては中小企業診断士や公認会計士など公的資格を持った第三者が行う評価を行った書面を提出する必要があります。

欠損金3

・直近期末において債務超過であるが直近期前期末では債務超過になっていない場合

債務超過は企業の信用を著しく低下させるため、経営・管理の更新においてはかなり不利な状況ではありますが、1年以内に債務超過が改善できる見込みがあることを前提とし、事業の継続性を認める場合があります。この場合も公的資格を持った第三者が行う評価を行った書面を参考にします。

欠損金4

・直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合

債務超過の状況が1年以上継続している場合は原則的に事業の継続性が認められることは難しいといえるでしょう。債務超過になった理由が偶発的な要因であり次年度以降は債務超過を改善できる具体的な根拠を示す必要があるといえます。また増資や他の企業による救済等で債務超過が改善できると判断されれば更新できる可能性もあります。

上陸許可基準

申請人が次のいずれにも該当していること。
一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。
二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が5百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
三 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

上陸許可基準第1号

一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

上陸許可基準第1号は外国人が経営し又は管理に従事する事業が本邦に事業所を有して営まれるものであることを要件としており、次の両方を満たしていることが必要となります。

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事業所とは事務所だけではなく、工場、鉱山、商店、営業所、農家、学校、病院などのことをいいます。一定の場所で営まれる事業を経営主体ごとに1事業所とします。なので同じ場所でも経営主体が異なればそれぞれ別の事業所として扱います。また、事業所には人や設備を有して事業を営まなければならないので無人のオフィース(バーチャルオフィース)などは事業所に該当しません。さらに上記したように事業には継続性が必要となるため月単位の短期間賃貸契約や処分可能な屋台などは特別の理由がない限り事業所としては認められません。

これらの疎明資料としては賃貸借契約書などがあげられます。

賃貸借契約書の目的欄が事業用、店舗用、事務所用などになっているか、契約期間が短期間になっていないかなどが審査されます。また、同じ場所で異なる経営主体がある場合や住居兼事務所でも事業所として認められる可能性はありますが、当該事業所が独立しているなどの条件が必要になります。

仮に住居用として賃借している物件の一部を使用して事業を運営しようとする場合の要件の例としては下記の通りとなります。

  • 住居目的以外での使用を貸主、借主双方が認めていること
  • 事業を行う者が設備(電話、ファックス、コピー機、パソコンなど)を整えており、住居用の区画と分離できていること
  • 当該物件に係る公共料金等に関して、事業所用と住居用の支払いの取り決めを明確にしていること
  • 看板等社会的標識を掲示し事業をしていることが客観的にわかるようにすること

要するに事業所と住居の使用区別が不明瞭だと許可はされにくくなります。逆に1階が事業所で2階が住居など使用区別が客観的にわかりやすいほうが許可される可能性が高いといえます。

上陸許可基準第2号

二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が5百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。

上陸許可基準第2号は外国人が経営又は管理に従事する事業の「規模」について定めたものであり、イからハまでのいずれかに該当する必要があります。

上陸許可基準第2号イ

申請者以外に2人以上の常勤の職員を雇用することが条件となります。その職員は誰でもいいというわけではなく、外国人の場合は「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」「定住者」などに限定されます。また雇用形態にも取決めがあり、常勤の職員である必要があります。常勤の職員として認められるためには、原則正社員雇用(労働日数が週5日以上、労働時間週30時間以上)であることが求められ、事業を遂行するうえで必要な職務である事などが前提となります。なので、アルバイトやパートは常勤の職員としては認められません。また派遣や請負などので形態で従事している労働者も同様です。

上陸許可基準第2号ロ

資本金の額又は出資の総額が5百万円以上であることが条件となります。あくまでこの金額は事業規模に係るものであり、申請人に5百万円以上の出資を必ず求めるものではありません。また外国人や外国法人が現に投資しているもののみでなく、日本人などが投資しているものであっても経営・管理の在留資格(ビザ)に該当します。この辺は外国人が我が国に投資することを前提とする「投資・経営」とは異なります。

上陸許可基準第2号ハ

イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
イに準ずるものの例としては常勤職員が1人しか従事していないような場合です。この場合は厳密にいえばイの条件は満たしておりませんが、例えば事業に250万円以上の払い込みがされているなどの事情があればイとロの間をとった取扱いが行われる場合があります。

ロに準ずるものの例としては個人事業主などが挙られます。ロの条件は会社形態で事業が営まれることを前提としているため、個人で事業を始めようとする場合はハの要件に該当するかの審査が行われます。この場合は、以下の①~③の目的で5百万円以上を投資することが求められます。

①事業所の確保:当該事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費
②雇用する職員の給与等:役員報酬及び常勤・非常勤を問わず、当該事業所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費
③その他:事業所に備え付けるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費
また、引き続き行われている事業の場合は5百万円以上の投資が継続して行われていることが必要です。

出資の原資

上記でも記載しましたが、経営・管理においては申請人に5百万円以上の出資を必ず求めるものではありません。しかし、申請人が経営に実質的に参画し、在留資格該当性を満たすためには出資の有無は重要な判断要素となります。そこで実務上は申請人が5百万円以上の出資をするケースが多いのですが、問題となるのは原資の出どころです。特に留学生から経営・管理に変更申請をする場合においては資格外活動が週28時間以内という現実において自身で働いて貯めるということはかなり困難といえるでしょう。

そのため、5百万円をどのように集めたかを明確に示す必要があります。仮に本国の親族に用意してもらった場合は、通帳の写しや送金記録などで立証することになります。

上陸許可基準第3号

三 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

外国人が事業の管理に従事する場合に適用される基準を定めております。3年以上の事業の経験又は管理の実務経験を有すること及び日本人と同等額以上の報酬を受けて事業の管理に従事することが必要です。

括弧書きにもあるように大学院での専攻期間も実務経験に含まれますので大学院で3年以上経営又は管理に係る科目を専攻していれば実務経験がゼロでも要件を満たします。

おまけ

経営・管理と飲食店

経営・管理でできる事業については適法に行われる範囲であれば業務に制限はありません。また、経営・管理に該当する活動のほか従たる活動も認められます。しかし従たる活動が主活動と逆転した場合は経営・管理の在留資格(ビザ)と認められない場合があります。

例えば、飲食店の経営を主活動として調理業務を従たる活動として活動することは認められています。しかし、飲食店の風俗営業許可の場合、経営・管理で在留する外国人は風俗営業許可の申請者にはなり得ますが、管理者にはなれないとされております。これは管理者が行う活動が従たる活動として認められていないことによるものです。あくまで主たる活動は経営・管理業務であり、従たる活動はそれに伴う限定的な範囲で認められる活動であることを忘れてはなりません。

このページでは下記を参考及び引用いたしております。
引用 出入国管理関係法令等
引用 在留資格関係公表資料
引用 入管法の実務 新日本法規 山脇康嗣
引用 入国・在留審査要領

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